情熱×演劇でつながる「やりたい・やってみたい」
高校卒業と同時に幼いころからの夢だった俳優を志し上京しました。
「石巻はなにもない場所」とずっと思っていたので、正直早く出たくてたまらなかったのを覚えています。そんなこんなで当時は石巻に帰るつもりは全くなく、東京に身を固めるつもりでしたが、帰省する度に今まで分からなかった故郷のあたたかさと魅力に触れました。
高校1年で被災し、何もできなかった自分が故郷で何かできないかという思いが生まれ、専門学校に在学中に石巻にて野外公演を企画し上演しました。以降、「石巻で演劇を作り、演じ、石巻を演劇の街にしたい」ということが大きな目標となり、2017年に帰郷することとなりました。現在は石巻市を拠点に俳優として活動しています。
地域での演劇活動から得られたものは本当にたくさんあるのですが、一番は「つながり」です。人、仕事、居場所、食、教育…。さまざまなつながりが得られたからこそ、現在、たくさんの活動の場をいただけています。その分、まとまった休息日はなくなりました(笑)。
そんな中、2年前のReborn-Art Festival2019で中崎透さんの「夜側のできごと」という演劇作品に出演させていただいて、そのイベントをきっかけに仲良くなった演出家の女子やインターンで石巻に来ていた女子の2人とともに3人組演劇ユニット「TieTone」を結成。現在は学生と一緒に演劇ワークショップの実施や、今年は毎年開催されている「いしのまき演劇祭」でも上演を行います。
元々実家暮らしをしていて、プライベートと仕事の境目があまりない環境でした。近年ではありがたいことにお仕事が増えてきて、「プライベートと仕事の空間を分けたいな」と思っていました。そんな矢先、TieToneの仲間の一人が新居を探していて、もう一人の仲間が石巻に移住してくるということから、3人で住める拠点を探して、現在一軒家にシェアハウスをしています。 私は実家とシェアハウスを行き来していますが、オン・オフの切り替えがしやすく、環境としては非常に良い環境でお仕事させていただいています。
石巻での活動は、思っていた以上に沢山の方々と「つながる」ことができ、一緒に作品や企画をして、想像以上に充実した生活をしています。東京で学べる事、経験できることは確かにもっとあったかもしれないけれど、私は戻ってきて良かったなと思います。
今後も、続けられる限り俳優の仕事は続けていきたいです。何年先まで今と全く同じようにアクティブに動けるかは分からないのですが、表現の仕方は無限大なので、いろんなところで沢山の方と化学反応を起こしながら石巻の地で活動していきたいです。
また、一つの目標としては石巻でミュージカルの舞台制作と出演をしたいと考えています。現在はストレートプレイという台詞だけの舞台の現場が多いのですが、ミュージカルは私の原点であり、とても好きで魅力を感じています。自分自身の技術もまだまだ劣っているところがたくさんあるので、力をつけていきたいですね。